【035】 「腰痛」

腰痛は急性期と慢性期によって治療法が異なります。
急性の腰痛は環境(湿気、寒さなど)や体の中でできた病理的産物(血滞、水滞など)によって起こり、痛みが激しいのが特徴です。環境が原因の場合原因がなくなれば消えますが、体の中に原因がある場合は長引くことが多くなります。

腰痛の原因がどの臓器にあるかを診断するには、痛みの性質を見極めることが大切です。

「腰が重く痛い」という症状は湿気が多い状態でよく起こります。腎や脾の機能が低下して飲食物がうまく消化・吸収できず、余った水が生まれて体内に滞っているために起こります。
冷たいものを飲みすぎたり、湿度の高い環境にいると水分代謝が乱れ手足がいつも冷たく、からだが冷えたり寒い日に腰痛が起こりやすくなります。顔色は青く、食欲不振、下痢、舌苔が白くベタッとするなどの症状が特徴です。
このような場合は「苓姜朮甘湯」や「五積散」で寒冷と余った水を取り除きます。からだを温める力が弱っているときには「八味丸」や「真武湯」を使います。

「腰が針を刺したように痛い」という症状は血液の滞りによって生じます。肝の働きが落ちて血液の成分が不足している場合、水分や湿気などの外因が加わるとエネルギーや血液のめぐりが悪くなり、やがて血液が滞るようになります。ぎっくり腰などもこのケースに属します。また、夜に痛みが強くなるという傾向があり、手足がときどきほてる、のどが乾きやすいなどやや熱性の症状を帯び、尿が濃くなり、舌苔は黄色くベタッとなります。このような場合には肝の血液を補い、働きを高める「疎経活血湯」を用います。「独活寄生湯」や「芍薬甘草湯」との併用も考えます。

腎の働きとともに肝の機能に問題があると寒冷が引き金となって腰痛が起こることがあります。
この場合は腰痛とともに、男性は内股の足のつけ根が、女性の場合は会陰がひきつるように痛みます。また、冷えに対する反応も極端で、コンクリートの上に少し座っただけで腰が痛くなることもあります。この症状を繰り返すときは「当帰四逆加呉茱萸生姜湯」を用います。

いつも腰が重だるいのは、お年寄りにみられる症状です。これは、腎そのものが衰えていることを表します。しかし、若い人でも、精神的・肉体的な過労、性生活や食生活の不節制などが続くと、腎が一時的に衰えて、重だるい腰痛が起こることがあります。このような場合には、冷えを伴う場合に「右帰飲」、口やのどが少し乾くといった軽い熱症状をともなう場合に「六味丸」「知柏地黄丸」
を使います。
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